あるRTWPC達 第26話 わんわん、ダメダメGM風味(何

「へぇーえ、そんな目に合わされたんだー」「全く、通知ぐらいしなさいっての…どう?レーニャ」
『んむ…ほどよく焼けているぞ』…瓦礫の町で、三人がのほほんと餅を焼いて食べながら話をしている。
「じゃあ僕はこれを貰おうかな」『真澄は取らないのか?焦げるぞ』
「俺はウェルダンが好きなんだよ…それで、チコラブさん。奴だが…妙な事を口走った」
「はむ…ふぁにふぁな?(何かな?)」餅を歯でちぎって口の中で冷ましながら答えるチコラブ。
「また気になる証言だ…『奴は近くにいる。気をつけろ、代行者、断罪者…』」
「…断罪者?代行者ならわかるんだけど…どういう意味かなぁ?」
『…存外近くに断罪者、とやらが居るんだろうな』

「先…じゃなくってチコラブさーん」「ああ、ぱふぇちゃんにリフィール」
カオスゲートから二人の人影…ぱふぇとリフィールが出てくる。
「…チコラブさん、つかぬ事をお伺いしたいのですが…其処の女の人たちは一体どなたですか?」
「ああ、レーニャと真澄」『チコラブの恋人だ』「なら俺はレーニャの恋敵か?」
「…おい、お前ら…俺をおちょくってるのん?」『「じょ、冗談だ!」』
和やかに言うが、その裏では殺気が漂っている。事実、チャージバスターがいつでも撃てるように準備している。
「…あの、チコラブさん」「ああ、ゴメンゴメン…それじゃあ、狩りにでも行く?」
「ええ、お願いします」「それじゃあレーニャ、チコラブさん借りていくねー♪」

───奇跡の街ピュアスノー
チコラブ達は、真琴を狩りに行こうということで、この町までやってきた。だが──
「…先生…」「…チ、チコラブさん…」ぱふぇもリフィールも、絶句している。
それもそのはず…「…あのGM、管理不行き届きで告訴してやろうか…」
チコラブは、なぜか狗になってしまっていた。
「これって一体どういうことなの?」「恐らく、データ転送の際に何らかの異物が混入してるんだろうねぇ…お」
チコラブは、何かに気付く。…視線の先には、シズマ。
「ああ、シズマさん…って、チコラブさん!?」チコラブはそのまま修羅の如き勢いで駆け出す。

「えーっと、ここのバグはこれでよし、と…」「『バーストタックル』!!」
音速を超えて、狗(チコラブ)がシズマに体当たりを仕掛ける。
「…!!せぇぃっ!!」シズマはそれに気付き、狗(チコラブ)を迎撃。
自分の加速度がそのまま跳ね返って、吹き飛ばされる。…瞬間。
「な…!?」氷塊や銃弾が突然周囲に出現する。
「…油断大敵という奴だ」シズマが気絶する前に聞いた、最後の声であった…

「せ、先生ッ!こここれはまずいんじゃないんですかぁッ!?」
「大丈夫だと思うよ?黒月って言う人に苛められてるぐらいだし」
「さっさと起きんかいへたれGM〜」ぱふぇとリフィールのやり取りをよそに、シズマに噛み付くチコラブ。
「ん…痛っ!?」チコラブが頭に噛み付いたまま飛び起きるシズマ。
「やっと起きたか、へたれGM」シズマはさっきまでの痛みを確認する…原因は、狗だとわかった。
「な、なんで街中でモンスターが…?」「いや、モンスターじゃなくて先…チコラブさんですけど」
「誰の管理不行き届きのおかげでこうなってると思ってるんだろうかねぇ…」
「…え?な、何の事…」「現場対応のあんたが居ると言うのに何でこんな事になるのかねぇ…」
「あ、ああ…それは…ちょっと…」「このバグは見つけてなかったって理由だね♪」
「そ、そうですそうです!」「嘘つくな。…把握していたけど直していなかったんだろう?」
…図星のようである。「えー、あー、実は、その…」「天誅ッ!!」

「…とりあえず、応急処置はしておきましたが」「…」
チコラブは…とりあえず、人っぽくなっている。ただし、狗のまま。
「…フフフ」「お気に召しましたか?」チコラブの心情も知らずにのんびりと構えるシズマ。
一瞬のうちに首筋に銃を突きつける…「てめぇふざけてんのかシズマっちゃんよぉ…」
「どどどうすればばばいいいんでしょうかかか」「まずこれだけは言う…キモい」
「け、けども…」「けどもこどもあるか?…俺の評判が落ちるとは思わないかねぇ、シズマくん?」
「そ、そもそもチコラブさんとは判りませんしー…」「…リフィール、君の奥義を味わいたいってさ」
「ちょちょちょっと待って…判りました、判りましたぁッ!!お願いですから止めてください!!」

…結果、元のまま狗ということに落ち着いた。シズマには大至急元に戻れるように脅した頼んだ。
「あーもう酷い目にあった」「シズマさんが酷い目にあったんじゃ…」「きのせいきのせい♪」
「…チコラブさん、JOBどうする?」「んー、盾装備ソースで何とかなるでしょ」
とりあえず、三人は意気揚揚と真琴を倒しにものみの丘最奥まで進んでいく。
途中…「其処の二人!退け!!」
思わず退いてしまうリフィールとぱふぇ。そしてチコラブに白銀の閃光が襲い掛かる──
「『アイスウォール!!』」白銀の閃光を氷壁で食い止める。
「ストップ!僕はちゃんとしたPC…」「『ナパームビート』!」
視覚外から魔力弾がチコラブを襲う…だが、それはチコラブの体に巻かれている輝きによって跳ね返される。
「だあぁっ!!人の話を…」「ふっ!」銀色の煌きを慌てて回避するチコラブ。
「ああもう、今日は厄日だぁッ!!」チコラブはそのまま、林の方へと駆け出す。

「リフィア、何をやってんだよ!」「うるさいわね、偉そうに言わないでよ!」
…おかしい。何故このものみの丘にデザートウルフが出現するのか…それも、なんだかちょっと違う。
それに、何故確実に当たる命中率があるというのに当たらないのか。
「魔法が跳ね返ってきたんだから仕方がないでしょ!このバカ!」
…魔法が跳ね返った?確か…魔法を反射するモンスターはいないはずだ。
「…そういえば、喋ってたよな…あのデザートウルフ」

「『コールドボルト』!『フロストダイバー』!『ソウルストライク』!」
男は襲い掛かってくる氷槍を叩き落し、冷気を避け、魔力弾を薙ぎ払う。
そして…男が林へと足を踏み入れて一息…「かかった!『ストームガスト』!!」
「ちぃっ!」バックステップで回避。其処に…
「チコラブさん、ゴメン!遅くなっちゃった!でもって『炎帝覇王断』!!」
「マサミ!」「チコラブさんをいぢめるなー!『ミニオンストライク』!!」
「おおおぉっ!」マサミと呼ばれた男は身を捻り炎帝覇王断をギリギリでよける。
「ちぇいっ!」リフィアと呼ばれた女性は右手の剣でミニオンストライクを叩き落した。
「貰った…!!」チコラブが高速で突っ込む!

「…というわけなんだよねぇ」「悪かった」
とりあえず最奥まで一緒に進んでいるチコラブ達。
「あー、マジで狩られると思ったよ」「ま、デザートウルフがいるって言い出したのマサミだし」
「お前だって判らなかっただろうが」「あら、魔法を反射した時点で気付けばよかったんじゃないの?」
「ならお前こそ気付け」「なんですって!?」…そのまま喧嘩をはじめる二人。
「先…チコラブさん、いいんですか?あのお二人…」「いいんじゃない?まんざらって顔じゃないし♪」
「…リフィールちゃん、私…先生に微妙についていけないような…」
「あはは、チコラブさんに付いていけないと…もっと灰汁の強いのがいるからついていけないよw」

…最奥層。
「お」「あ」チコラブの姿が元に戻っている。
「やりぃっ☆これでガンスターに戻れるぅっ♪」と、いそいそと装備を変えようとするチコラブだが…
…目の前に真琴が沸いた。「…まだ装備変えられないみたい;;」
そのまま仕方なく戦いが始まった。



「…あ、もうこんな時間…寝なきゃ」「|ω・)つ[ラリホーマ]」
「先生、それはなんなんですか…」「顔文字よん。ROやSBCでよく使ってたのよなぁ」
「…SBC?」「ネットゲームの一つ。ちなみに、今もやってるんだよねー」
「さて…じゃあリフィールも寝るねー、おやすみー」「おやすみー、リフィールちゃん」
「…さて、と」「チコラブさんはこれからどうするんですか?寝ないんですか?」
「あ、うん…ちょっと寝る前にシメなきゃならない奴がいるからさ。おつかれ、ぱふぇ」
「し…シメるって…と、とにかく、おやすみなさい…」苦笑いしながらぱふぇがログアウトする。
「…さて。目にモノ見せてやる。…この恨み、はらさでおくべきか」

…数刻後、シズマが…どうなったのかは言うまでもなかったり。